1,000通貨のドル円に必要な証拠金は6,000円。入金額ごとに「耐えられる値幅」を1本の引き算で出す
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1ドル150円のとき、ドル円を1,000通貨買うのに必要な証拠金は6,000円。個人のFXは、取引額の4%以上の証拠金を入れる決まりになっているからだ。ここまでは口座を開くとすぐ分かる。分かりにくいのは、口座にいくら入れておくと、どれだけの値動きまで耐えられるかのほうだ。この記事では、その関係を1本の引き算にして、入金額ごとの表にした。
「4%以上」は法律で決まっている

医療事務の仕事をしながら、FXを1,000通貨で2年続けている。始めた頃、口座の画面に出てくる「必要証拠金」「証拠金維持率」という言葉が分からず、1か月ほど何も買えなかった。調べていくと、数字の出どころはひとつの決まりだった。
金融先物取引業協会の説明によると、金融庁は2009年に金融商品取引業等に関する内閣府令を改正し、個人を相手にするFX取引では、取引の額(想定元本)の4%以上の証拠金を預かることを業者に義務づけた。4%は25分の1なので、レバレッジに直すと25倍が上限になる。協会は、この規制の目的として顧客保護、業者のリスク管理、過当投機の防止を挙げている。
国内の登録業者なら、どこの口座でもこの4%は同じだ。業者ごとに違うのは、ロスカットが発動する水準や、取引できる最小の単位のほうになる。
1,000通貨のドル円を数字にする
1ドル150円として、ドル円を1,000通貨買う場合を数字にする。
- 取引の額(想定元本)=150円 × 1,000通貨 = 150,000円
- 必要証拠金 = 150,000円 × 4% = 6,000円
- レートが1円動いたときの損益 = 1,000円
- レートが0.01円(1銭)動いたときの損益 = 10円
1,000通貨の損益は、1円の値動きで1,000円。この「1円で1,000円」を覚えておくと、あとの計算がすべて暗算でできるようになる。1万通貨ならこれが1円で1万円になる。私が1,000通貨から始めたのは、1日の値動きで失う金額を、ランチ1回分くらいに収めたかったからだ。
レバレッジ25倍は上限で、実際の倍率は入金額で決まる

始める前、「レバレッジ25倍」と聞いて、25倍の勝負をするものだと思い込んでいた。実際は違う。25倍は、口座に入れたお金に対して取引できる額の上限だ。実際に何倍で取引しているかは、口座に入れた額と取引の額の割合で決まる。これを実効レバレッジと呼ぶ。
実効レバレッジ = 取引の額 ÷ 口座に入れた額
150,000円分のドル円を、口座に5万円入れて持っていれば実効レバレッジは3倍。1万円しか入れていなければ15倍になる。同じ1,000通貨でも、入金額によって危なさはまったく変わる。
入金額ごとに、耐えられる値幅を並べる
口座に入れた額から必要証拠金を引いた残りが、含み損を受け止められる余裕になる。1,000通貨なら1円で1,000円動くので、耐えられる値幅は次の引き算で出る。
耐えられる値幅(円)≒(口座に入れた額 − 必要証拠金)÷ 1,000
ここでは、証拠金維持率が100%を切るところまでを「耐えられる」とした。ロスカットが発動する維持率は業者によって違うので、実際の余裕はこれより小さくなることがある。
| 口座に入れた額 | 実効レバレッジ | 証拠金維持率 | 耐えられる値幅の目安 |
|---|---|---|---|
| 10,000円 | 15倍 | 167% | 約4円 |
| 30,000円 | 5倍 | 500% | 約24円 |
| 50,000円 | 3倍 | 833% | 約44円 |
| 100,000円 | 1.5倍 | 1,667% | 約94円 |
1万円の口座だと、4円ほど逆に動いただけで維持率が100%を切る。ドル円が1日で数円動く日は珍しくない。最小の入金額で始めると、始めたばかりの週に強制的に決済されることがあり得る。
表の値幅は、レートが動くと必要証拠金も少し変わる点を無視した近似だ。桁の感覚をつかむには十分で、正確な数字は取引画面の維持率で確かめる。
ロスカットの水準が違うと、余裕はどれだけ変わるか

ロスカットは、証拠金維持率が業者の決めた水準を下回ったときに、持っている通貨を強制的に決済する仕組みだ。この水準は業者によって違い、100%のところもあれば、50%のように低いところもある。自分の口座の水準は、取引説明書か取引ルールのページに書いてある。
水準が違うと、同じ入金額でも耐えられる値幅が変わる。5万円を入れて1,000通貨を持っている場合で比べると、こうなる。
- ロスカットが維持率100%の口座 (50,000円 − 6,000円)÷ 1,000 = 約44円
- ロスカットが維持率50%の口座 (50,000円 − 3,000円)÷ 1,000 = 約47円
差は3円ほどしかない。入金額が5万円あれば、ロスカットの水準の違いより、入金額そのもののほうがずっと効く。逆に1万円しか入れていない場合は、100%なら約4円、50%なら約7円と、倍近く変わる。ぎりぎりの入金で始める人ほど、業者のロスカット水準を細かく気にすることになる。私はそこで迷うくらいなら、入金額のほうを増やすと決めた。
スプレッドの分は、買った瞬間に引かれている
もうひとつ、表の計算に入れていない費用がある。買値と売値の差であるスプレッドだ。たとえばスプレッドが0.2銭なら、1,000通貨を買った瞬間の含み損は2円になる。1回の取引では気にならない額でも、1日に何度も売買すれば積み上がる。1,000通貨で週に1、2回だけ取引している私の場合、スプレッドが0.2銭なら1か月の負担は十数円に収まる。取引の回数を減らすのも、少額で続けるための工夫のひとつだと思う。
私が最初に5万円入れた理由

私は最初に5万円を入金して、1,000通貨だけ持った。実効レバレッジは3倍で、44円ほどの逆行まで耐えられる計算になる。同じ5万円で2,000通貨持つと、必要証拠金は倍の12,000円になり、1円で2,000円動く。耐えられる値幅は19円まで縮む。持つ量を倍にすると、余裕は半分以下になる。
5万円にしたのは、なくなっても生活が困らない額の上限がそこだったからだ。医療事務の手取りから、毎月の貯金とは別に動かせるお金を数えたら、5万円が限度だった。
2年やってみて、実効レバレッジは3倍以下にしておくのがいいと思っている。倍率を上げれば少ない入金で同じ利益を狙える。ただ、少し逆に動くたびに画面を見に行く生活になる。3倍なら、仕事中に為替の値動きを気にせずに済んだ。
口座を開く前に確かめること
金融庁の「いわゆる外国為替証拠金取引について」のページは、FXは金融商品取引法の登録を受けた業者でなければ行うことができないと注意している。海外でライセンスを持つ業者でも、日本で登録を受けずに日本の居住者と取引を行うことは禁止されている。
この記事の4%の話は、国内の登録業者を前提にしている。25倍より高いレバレッジを宣伝している業者は、この規制の外にいる。登録の有無は、金融庁の登録業者の一覧で名前を検索すれば確かめられる。私は口座を開く前に、候補の業者名を一覧で1社ずつ探した。
記録をつけると続く

1,000通貨の取引は、1回の損益が数百円から数千円と小さい。そのぶん、勝ち負けの印象だけで続けると、何が良くて何が悪かったのかが残らない。私は取引のたびに、日付、買ったか売ったか、入った値段、出た値段、そのときの維持率をノートに1行で書いている。
1年分を見返すと、維持率が500%を切っている時期ほど、負けた取引が続いていた。入金額に対して持ちすぎていたということだ。この記録がなければ、相場のせいにしていたと思う。このページの「1行の取引記録ノート」は、私がノートにつけている項目をそのまま入力欄にしたものだ。記録すると勝率と合計損益、平均の維持率が自動で出る。記録はブラウザの中にだけ保存され、どこにも送られない。
- 金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」 https://www.ffaj.or.jp/regulation/customers/
- 金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/iwagai/